memoQが提供する待望の翻訳自動化技術、memoQ AGTがmemoQ 10.4のリリースとともにご利用いただけるようになります。今回のブログ記事では、この新たな技術について詳しく解説するとともに、ユーザーにとってのメリットもご紹介します。
AIのポテンシャルをフルに活用
memoQ AGTは、機械翻訳と翻訳メモリの利点を融合させた、AIによる翻訳自動化技術です。大規模言語モデル (LLM) を活用して翻訳を生成し、即座にドメインアダプテーションを行うことで、お客様が現在お持ちの翻訳メモリ、用語集、用語ベース、整合文書といった言語リソースに沿った翻訳を実現します。言語リソースに合わせてLLMをトレーニングしたり微調整したりする必要がないため、コストを節約しつつ、文脈やドメインに適応した翻訳が可能となります。
AGTを実現したmemoQの技術
NMTやLLMを活用したAIが効果的に機能して、ポストエディットを一切またはほとんど必要としない翻訳を生成するには、厳選された高品質なデータが必要です。 高品質でクリーンな言語データを確保することをmemoQは常に優先してきました。この意識は、memoQが高性能な翻訳メモリ (TM+) と、ライブ文書として知られる資料メモリを組み合わせて使用できる唯一のTMSであるという事実にも現れています。
ライブ文書は、市場唯一の高速なローカライゼーションのワークフローを実現する統合された整合技術です。様々な形式の文書を整合できるだけでなく、使用しない整合結果をレビューすることなく整合結果をすぐに利用できるため、他の整合ツールでは数日かかるような整合プロセスを大幅に短縮できます。
memoQのTM+は現存するTMエンジンの中でも最も強固なものです。主要な翻訳メモリの機能を網羅しながらも、1000万以上のセグメントの翻訳メモリを扱うことができ、CPUコアの数が多いほど高いパフォーマンスを発揮します。TMXのインポート速度も、従来のTMエンジンに比べて大幅に向上し、アンチウィルスプログラムの影響も受けにくくなっています。また、TM+は破損を防止する設計になっており、従来の翻訳メモリよりも動作が安定しています。
memoQが誇る言語データの管理能力が、memoQ AGTの開発への道を開いたのです。
memoQ AGTが機械翻訳を越えていく
memoQ AGTはユーザーが提供するデータ（翻訳メモリ、ライブ文書、用語集など）を利用しており、AIモデル（NMTやLLM）のトレーニングや調整が必要ないため、大量のデータを外部ソースに転送する必要がありません。
memoQ AGTにより、ユーザーは事前準備や通常のワークフローを変えることなく、既存の言語リソースをすぐにAIに活用することができます。memoQ AGTは、たとえ用語集しか利用できるリソースがなかったとしても、ユーザーのリソースに合わせて、特定のドメインや文脈に適応した翻訳を生成します。潜在的なコストはかかる（オープンソースのモデルでも生成AIはコストがかかる）にせよ、memoQ AGTはAI活用の敷居を最大限に引き下げ、実質的にゼロに抑えることも可能です。
言語リソースの重要性
memoQ AGTは、翻訳メモリ、用語集、対訳テキストなど、充実した言語リソースを利用するプロジェクトを取り扱う翻訳会社に最適です。これはAGTがこれらのリソースを最適な方法で活用できるためです。例えば、翻訳中に翻訳メモリ内のあいまい一致がヒットした場合、あいまい一致の訳文が完璧だったとしても、その訳文をこれから訳すソーステキストに合わせて修正するのは大変な作業です。memoQ AGTはまさにこのような場面で優れた能力を発揮します。
また、マッチ率の低いあいまい一致も、memoQ AGTは上手く活用することができます。通常、人間の翻訳者は80%を下回るあいまい一致の場合、その大部分を使いません。しかし、AGTはマッチ率が50%や60%の訳文も利用してソーステキストに合わせることができます。このように、AGTを使用すれば、認知的努力を必要とする一方で、創造性を必要としないような面倒な反復作業を自動化できます。
翻訳の中心は人間のまま
本質的に、memoQ AGTは、高品質な翻訳のための最適な自動化を実現します。これにより、人間が行う作業を大幅に効率化できますが、人間が担ういかなる役割においても、それに代わるような計算プロセスを生み出すことはできません。優れた翻訳を出力する能力はありますが、memoQ AGTの翻訳結果には、必ず人間の言語専門家によるチェックと承認が必要です。
