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インカントリーレビュー:どのようなもので、なぜ重要か

Zsófia Lelner
Zsófia Lelner - 20/02/2024

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インカントリーレビュー とは?

ローカライゼーションの現場では、翻訳されたコンテンツとローカライズされたコンテンツの違いという話がよく出てきます。ローカライゼーションとは、文章を翻訳するだけでなく、特定の場所にいる対象顧客に合わせてコンテンツをカスタマイズすることです。例えば、測定単位を変換したり、場所や文脈に応じて文章の内容を調整したりすることが、ローカライゼーションです。

ローカライゼーションプロセスにおいて、インカントリーレビューの役割がますます重要になってきているのはこのためです。インカントリーレビューは、完成した翻訳をインカントリーレビュー担当者(つまり、対象国に住んでいる特定分野の専門家)がレビューし、アップデートすることです。 

このためには、多くの場合、翻訳プロジェクトごとに異なる専門家を選択したり、タスクごとに最適な人材を選択したりする必要があります。それでは、目的のタスクに対して最適なインカントリーレビュー担当者を選択するためのヒントをいくつか見てみましょう。

優れたインカントリーレビュー担当者の条件 とは?

プロジェクトに対して依頼する特定分野の専門家は、ソース言語とターゲット言語の両方がわかるバイリンガルであることが理想的です。もちろん、正しい用語を使用して正確な翻訳を行う作業は、翻訳者が用語ベース翻訳メモリを使用することで達成できますが、このプロセスにおいてインカントリーレビュー担当者も重要な役割を果たします。

また、インカントリーレビュー担当者が、取り扱うコンテンツの対象市場または対象地域の居住者や出身者であることも重要です。翻訳ワークフロー中で、文章をレビューする人材を実際の対象顧客の中から確保できれば理想的です。 

文章の専門分野についても同様です。インカントリーレビュー担当者は、翻訳者や編集者ではなく、対象分野に詳しい人や業界出身者の方がよい場合もあります。

また、すべての条件を満たす人材を見つけることができない場合、複数のインカントリーレビュー担当者が必要なこともあります。複数の専門家と仕事を行う場合、連携が非常に重要になってきます。翻訳ワークフローを設計する場合、翻訳管理システム (TMS) を選択し、文書のエクスポートやインポートなどの手作業を行わずに、TMS環境内で特定分野の専門家とシームレスに連携できるようにする必要があります。このようなシームレスなワークフローではなく、コンテンツをエクスポートするようなワークフローの場合、レビュープロセスが煩雑になり、インカントリーレビュー担当者にとって作業の指針となるTBや翻訳対象外のリソースを活用できなくなり、問題が発生するリスクが高まります。

さらに、社内でローカライゼーションプロセスに使用しているソフトウェア をインカントリーレビュー担当者も簡単に使用できれば、メリットも大きくなります。インカントリーレビュー担当者は言語専門家とは限らないため、翻訳プロセスに関わるすべての人にとって直感的で使いやすいツールを使用する必要もあります。

インカントリーレビューはなぜ重要か?

インカントリーレビューには、文章の種類、対象顧客、さらには業界に応じてさまざまな役割を持たせることができます。まず、実際の対象顧客の中から人材を選択する場合、その翻訳が読みやすく、お客様の心に響くような文章になっているかどうかに加え、正しい用語および文化的に適切な表現とスタイルを使用して書かれているかどうかについても、レビューしてもらいます。

また、インカントリーレビュー担当者は、対象市場に不可欠な専門知識を文章に反映させる役割も果たすことができます。これは、ライフサイエンスや金融などの規制が厳しい分野においては特に重要です。こうした業界では、多くの場合、正確で一貫性のある用語の使用が求められます。インカントリーレビュー担当者のレビューを通して、御社が対象顧客のことを理解しており、業界用語にも明るいことを示すことができるため、御社に対する信頼度も高まり、製品の購入やサービスの利用につながりやすくなります。

完璧なインカントリーレビュープロセスを実現する方法

インカントリーレビューは複数の利害関係者が関与する複雑なプロセスですので、ミスのない正確な翻訳を完成させるまでには、落とし穴もあります。そうした落とし穴を回避する方法とインカントリーレビュー前とインカントリーレビュー中に踏むべきステップを見てみましょう。

インカントリーレビューは実際のレビュープロセスの前に始まっている

インカントリーレビューは通常、翻訳校正後に行いますが、作業のタイミングはレイアウト調整、最終QAチェック、公開の前がベストです。このため、インカントリーレビューを行う文書を用意する場合、特定分野の専門家に依頼する前に、いくつかのステップを踏む必要があります。

最初のステップは、プロジェクトの目的と正確な範囲(つまり、レビュー担当者がどの程度修正を加える必要があるか)を設定することです。現地の専門家に求めるチェックの内容を明確に指示します。使用するツールを指定し、レビューした文書の納品方法と納品形式を指示します。

レビュー担当者に必要なツールを提供する

インカントリーレビューでは、レビュープロセスをシームレスに管理し、ユーザーフレンドリーで直感的な方法を使用し、手作業やエクスポートに関連するリスクを排除することが最も重要です。

memoQのインカントリーレビュー (ICR) ツールを使用すれば、インカントリーレビュープロセスを含め、翻訳ワークフロー全体をmemoQ TMS環境内で完結できます。これにより、シームレスで統合されたワークフローを実現でき、プロジェクト管理者は、プロジェクト全体をスムーズ に管理できます。

memoQICRツールは柔軟性にも優れています。プロジェクト管理者は、特定分野の専門家がアクセスできるリソースを指定できます。インカントリーレビューの方法は企業によって異なるため、プロジェクト管理者のさまざまなニーズに対してベストなソリューションを提供するには、こうした設定の柔軟性が重要です。

これにより、翻訳プロセスから手作業のステップを省くことができます。文書のエクスポートや外部でのコミュニケーションは必要ありません。ICRツールを使用することで、memoQ TMS環境の外で作業する場合のエクスポートや手作業に関連するリスクを排除することもできます。

また、memoQICRツールは、ユーザーフレンドリーで習得しやすいブラウザベースのシステムです。このため、長時間のトレーニングは必要なく、レビュー担当者を割り当ててすぐに作業を開始できます。このことは、特定分野の専門家が、翻訳者や言語専門家ではなく、翻訳管理システムに必ずしも詳しくない場合には特に重要です。 

ワークフロー内の関係者は完璧なコミュニケーションが可能

インカントリーレビューは、多くの場合、ローカライゼーションの要というよりは個別のプロセスです。特に、言語を専門としないレビュー担当者と仕事をする場合は、それが顕著になります。しかし、結果だけでなくプロセスにおいても、特定分野の専門家と翻訳者のコミュニケーションの間に明確なラインを作ることが大事になってくる場合があります。

質疑応答、補足説明、情報共有などを複数の担当者に対して個別に行う必要がないため、問題発生のリスクを低減でき、より迅速でシームレスなプロセスを実現できます。

まとめ

インカントリーレビューは、ローカライゼーションプロセスにおいて、取り扱うコンテンツを現地の対象顧客に合わせて最適化するために必要不可欠なステップですので、他のステップと同様に重視する必要があります。最適なレビュー担当者を選択したり、確実な成功を収めるための行動を考えたりする上で、この記事が何らかのヒントになれば幸いです。

次回のブログでは、memoQの機能を使用してインカントリーレビュープロセスを最も効果的に進める方法をご紹介します!それまで、memoQのプロダクトマネージャーであるZsolt VargaによるICRに関する詳細をお聞きいただければと思います。    

 

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Zsófia Lelner

Linguist turned content marketer, telling the story of memoQ.

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