用語ベースファイルのエクスポートおよびインポート操作の改善や、Gitコネクタの改良、用語ベースフィルタへのアクセスの管理強化など、ここでは、memoQ 9.7で導入される小さな改善点のうち、効果が大きいものを6つご紹介します。
変更履歴:移動されたテキストをマーク
Microsoft Wordの変更履歴ツールでは、同じ文書内の他の場所でカット&ペーストされたテキストを移動済みテキストとして表示できます。memoQの今回のリリースから、そのようなテキストが削除や挿入ではなく、移動されたテキストとしてマークされるようになりました。
移動されたテキストは、元の場所を示すタグとともに移動先にのみ表示されます。このようにすることで、文書内に重複したテキストが存在しなくなり、移動されたテキストはソースファイルと翻訳済みファイルの両方に明確にマークされます。
フラグメントの結合:memoQWebで利用可能に
memoQ 9.7では、フラグメント結合などの本格的な事前翻訳ツールセットがmemoQWebに導入されています。事前翻訳のプロセスで関連する一致が見つからない場合、memoQWebは利用可能な翻訳メモリや用語ベースを検索してセグメントの一部を探し出し、部分一致をつなぎ合わせます。フラグメント結合の設定方法について、詳しくはこちらをご覧ください。
Gitコネクタ:パフォーマンスの向上とリポジトリの競合管理
これまで、ローカライゼーションのためにGitリポジトリ内に作成したブランチは、翻訳作業が終わるまでそのままにしておく必要がありました。今回更新されたGitコネクタでは、貢献者がローカライゼーションブランチで作業でき、翻訳を納品する前に、リモートリポジトリで行われた変更が同期されます。
以前の製品バージョンでは、ローカライゼーション処理中にリモートリポジトリが変更された場合、2つのリポジトリの違いによる競合が発生して、翻訳を納品できないことがありました。新しいバージョンでは納品前にフェッチ操作が実行され、ローカルリポジトリが最新であることが確認されます。
新しいGitコネクタは、1,000万以上のオブジェクトを持つリポジトリも問題なく処理できます。部分的なコードリファクタリングにより、膨大な数のファイルや変更点を含むリポジトリでもローカライゼーションプロセスを妨げることがなくなります。
QTerm:インポートおよびエクスポートファイルのマッピング強化とユーザーアクセスの管理強化
SDLのMultiTermにはフィールドが組み込まれていないため、ユーザーが用語ベースのエクスポートファイルをQTermにインポートする場合、特に使用禁止用語のメタデータのインポートやエクスポートが難しいことがしばしばありました。今回のアップデートでは、翻訳環境間の一貫性を確保するために、MultiTerm XML用語ベースのエクスポートファイルのフィールドをQTerm用語ベースにインポートする際と、QTerm用語ベースのフィールドをMultiTerm XML形式にエクスポートする際に、それらのフィールドを使用禁止用語も含めてマッピングできるようになりました。
また、皆様からのフィードバックに基づき、翻訳リソースの管理を強化するために、QTermの管理者やプロジェクト管理者が、ユーザーやユーザーグループによる用語ベースフィルタへのアクセスを制限できるようになりました。用語ベースの [アクセス権] タブには、特定の貢献者のフィルタを選択するための [使用可能なフィルタ] という列が追加されています。ウェブインターフェースを介してQTerm用語ベースにアクセスするユーザーは、そのユーザー向けにあらかじめ選択された用語ベースフィルタからしか選択できません。